薬事ニュース社
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>>>ニーズは反映されているか<<<
 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会は8月28日、アレルギー性鼻炎等用薬など4薬効群・7成分を医療用医薬品からのOTC転用が「適当」とする結論をまとめた。日本薬学会が作成した候補薬リスト8薬効群・20成分から、安全性の問題を理由に糖尿病薬ボグリボースやACE阻害薬等のOTC転用は「慎重に」との日本医学会等の意見を踏まえ、同部会で審議・了承されるというスキームで行われた。厚労省は、あくまでもアカデミックな視点のスキームでリストが作成されているとし、「おかしいという指摘があれば変えるが、評価こそあれ批判はない」(審査管理課)と述べ、そのスキームの妥当性を評価している。
 しかし、おかしいという指摘がないわけではない。生活者と直に接し、ニーズを肌で感じている現場の意見が反映されていないといった声が漏れ聞こえる。同課は、これを完全には否定しなかったものの、ニーズが反映されていないという意見には首を傾げる。「特に、患者が増えている生活習慣病が心配な人たちも、忙しくて医療機関に行く暇がない場合が多い。その時に身近な薬局に行くことで、軽い症状の人は健康が維持できたり、多少悪化している人も受診勧奨を受けることで早期に改善することが期待できる。これからの日本の医療における生活習慣病予備軍を考えてリストアップされていることを考えると、トレンドという視点でも生活者や現場のニーズは反映されている」と説明する。
 そうした成分のOTC転用が「適当」とされた今回のリスト。同課では、通常の流れで承認審査の作業が進めば、3年目にはリスト〝出身〟のOTC転用第1号が上市されると読む。「先に出したところがシェアを取れる」と息巻く同課。メーカーの申請・開発に期待を膨らませる。
(2008年9月12日掲載)