薬事ニュース社
オピニオン

>>>声がれと黒ヒョウ<<<
 子どものころに動物園で暮らすライオンと黒ヒョウの話を読んだことがある。ライオンはサービス精神が旺盛で、遠足で遊びに来た子どもたちのために、大声で吼えるのを見せてあげるのが好きなのだが、黒ヒョウはいつもクールで誰が来ようと知らん顔。ところがある日、サービスのし過ぎで喉をからしてしまったライオンに代わり、黒ヒョウが子どものために吼えてあげるという微笑ましい内容だった。実は照れ屋で根は優しい黒ヒョウを可愛らしいと思ったのを覚えている。
 ところが現実は、喉をからしてしまうと何かと大変だ。最近ひいた風邪は症状が喉からきた。いつもは頭痛と発熱、関節痛が一緒にやってくることが多いのだが、今回は関節痛よりも喉の痛みがひどく、さらに体調がよくなってから1週間ほど経過したのに、なぜかしゃがれた声だけが治らない。いい加減にそろそろ病院で診てもらうべきか。
 記者の仕事は原稿を書くのと同じくらい、あるいはそれ以上かもしれないが、人と話す時間が長い。取材や打ち合わせ、あるいは他社の記者との雑談などなど。それなのにガラガラ声のせいで、話すたびに聞き返される始末。先日のインタビューでは、こちらが頼み込んで時間を作っていただいたのに、質問の声が聞き取りにくいのはさぞ不愉快に違いないと、いつも以上に緊張してしまった。子どものためにからした声なら格好もつくが、こちらはただの不摂生が原因であろう体調不良。今の自分に必要なのは助けてくれる黒ヒョウよりも、規則正しい生活に違いない。
(2016年6月24日掲載)