薬事ニュース社
オピニオン

>>>「健康サポート薬局」と要指導医薬品<<<
 「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」の報告書が9月24日に公表された。検討会で日本医師会などの反対受け、折り合いが付かなかった「OTC薬の供給」に関する要件化についても、報告書では「要指導医薬品等、衛生材料、介護用品等について、利用者自らが適切に選択できるよう供給機能や助言の体制を有していること」と明記。正式に要件化する方向で落ち着いたかたちだ。
 しかし、要指導・OTC薬を取り扱う「品目数」にまで踏み込んだ記載は無かった。厚労省・医薬食品局では省令改正の手続きに伴う通知の発出などで、詳細部分の明確化を図る構えのようだが、具体的な「品目数」を規定しなければ、絵に描いた餅で終わる可能性が大きい。
 そもそも、「OTC薬の供給」の要件化を巡っては、調剤業務のみに偏向し、OTC薬を全く扱わない薬局の現状認識を変えるところに目的があった。実際に日本薬剤師会の調査結果をみると、日薬会員のうち、薬剤師だけが販売できる要指導薬を取り扱っている薬局は、全体の35.2%に留まっている。ある厚労省幹部は「結局は政策誘導を行わない限り、薬局がOTC薬を扱うことはない」と話す。
 要指導薬は、OTC薬のネット販売解禁議論の中で誕生した新たなカテゴリーであり、薬局・薬剤師が積極的に取り組まなければ、再び規制緩和の議論が巻き起こる可能性もある。「薬局で取り扱っていない要指導薬を、国民はどこで購入すればいいのか」といった正論も出始めている。
(2015年10月9日掲載)