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>>>リフィル処方箋の導入<<<
 2022年度診療報酬改定で「リフィル処方箋」が導入される。総使用回数は3回までを上限とし、1回当たりの投薬期間や総投薬期間は医師が個別に判断する。新薬や麻薬、湿布薬など療養担当規則で投薬量に制限のある医薬品は対象外で、診療報酬上での誘導策としては、1回の投与期間が29日以内の投薬を行った場合、長期処方に関する処方箋料の減算規定を適用しない措置も講じた。処方箋に「リフィル可」の欄を設け、医師がそこに「レ点」を記入するだけで良いため、効率性の観点でも従来の「分割調剤」よりも優れているといえる。
 日本医師会の中川俊男会長は会見で「投薬日数は医師の裁量とされており、特定の薬剤を除いて制限もないが、長期処方にはリスクがある。不適切な長期処方は是正が必要だ」と主張し、「慎重な上にも慎重に、丁寧に始めるのが望ましい」と語る。日医はこれまでに、「リフィル処方箋」の導入に一貫して慎重な姿勢を示してきた。医師に対する診療報酬上のインセンティブも減算規定の適用除外に留まるため、実際に「リフィル処方箋」がどれだけ発行されるのか未知数の部分も多い。
 ただ、「リフィル処方箋」の導入を巡って厚生労働省と財務省の大臣折衝では「病状が安定している患者について医師の処方で、医療機関に行かずとも医師・薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる、分割調剤とは異なる実効的な方策を導入することにより、再診の効率化に繋げ、その効果について検証を行う」との文言を明記。「再診の効率化」とまで記載し、具体的に約110億円(国費ベース)の歳出削減を行う方針を明確に示している。
 来年度予算編成過程に向けて歳出削減の数値として記載され、かつ22年度改定の答申書附帯意見にも影響の調査・検証を行う方針が盛り込まれており、促進のスピードの度合いはともかく、確実に進んでいくことは間違いないだろう。健康保険組合連合会の松本真人理事も会見で「あまり焦らずに、健全な形で育てていければ良い」と発言した。薬局・薬剤師には長期的な視点に立って育成していくことが望まれる。
(2022年2月18日掲載)