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>>>ジャニス・ジョプリンとドラッグ問題<<<
 1960年代に活躍したアメリカの女性ロック歌手ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー映画「ジャニス リトル・ガール・ブルー」はとてもいい。ジャニスの妹、弟、バンド仲間などへのインタビューと、ジャニスが家族にあてた手紙によって、これまで知らなかった彼女の人生を知ることができる。ドラッグやアルコールによって亡くなったということはなんとなく知っていた。しかし、学校でいじめにあっていたこと、ロックスターになったことについて両親は良く思っていなかったことなどは、初めて知った。
 映画のエンドロールでは、ジョン・レノンがテレビ番組に出演した時の映像が流れる。社会にドラッグが広がっていることについての見解を求められ、ドラッグに頼ってしまう原因を解決しなくてはならない、というようなことを言っていた。
 ドラッグやアルコールに依存する人は共通して、人間関係に苦しみ、人から癒されることができないのだと聞く。さらに、背景としていじめや虐待を受けた経験のある人が多いという。日本ではここ数年の規制強化で危険ドラッグが姿を消したが、ドラッグに依存してしまう原因への対策、依存症患者への対策はどうだろうか。
 様々なつらさをかかえ、27歳という若さで亡くなってしまったジャニスだが、遺作となったアルバム「PEARL」は私の心を支える大切な1枚だ。
(2016年11月4日掲載)