薬事ニュース社
オピニオン

>>>「自己評価」と「他者評価」<<<
 暴論かも知れないが、個人の「幸福感」や「満足感」は、「自己評価」と「他者評価」の「ギャップ」によってある程度まで計測可能と考えている。「絶対評価」と「相対評価」と言い換えてもいい。両者の乖離が小さいほど個人の幸福感や満足感は高くなり、その逆に、ギャップが大きいほど(往々にして自己評価が他者からの評価を大きく上回っているのだが)「不平」や「不満」が強まるというわけだ。どの組織にも大抵ひとりはいるだろうが、「自己評価ばかりが極端に高い人間」というのはえてして扱いに困るものである。そういえばここ数年、「自分は正当に評価されていない」という身勝手な思い込みが理不尽な犯罪を引き起こすケースも増えている気がする。
 ところでこの方程式を「集団」に当てはめると、事情は微妙に違ってくる。集団の満足と、集団を構成する個々人の満足には必ずズレが生じるだろうし、その集団に対する外部からの評価も当然、「自己評価」とは一致しないはずだ。
 民主党政権下での初の診療報酬改定は、ネットで0.19%という小幅アップに止まった。長妻昭厚労相は「10年ぶりのネットでの引き上げ」を強調して胸を張るが、「大幅引き上げ」を期待して政権を後押しした医療関係者の間には落胆の空気が漂っているし、政権内部でも評価はまちまちだろう。この「自己評価」と「他者評価」のギャップが、今後の政権運営、さらには今夏の参院選にいかなる影響を及ぼすのか、注目されるところだ。
 でも、政治家というのは、何億ものお金を貰っておきながら申告もせず、それでいて「法に触れるようなことをしたつもりはない」とか「私は存じあげていない」とかで済ませようとする「幸せ」な人種だから、他人の評価なんて歯牙にもかけないのかも。
(2010年1月22日掲載)