薬事ニュース社
オピニオン

>>>癒着と交流<<<
 昨年9月、一般紙に大きく載った総合機構の企業出身者採用に関する記事。中身を見ると、04年4月の機構設立以降、企業出身者が雇用されている実態が明らかになったとし、審査の中立性を疑問視するというものだった。ただこの報道、個人的には少し首をかしげたというのが正直なところ。過去の苦い経験から、官民の不正な繋がりを撤廃しなければならないというのは当然理解できる。ただし、「いい薬をいかに早く患者に届けるか」というのが喫緊の課題である今、総合機構と民間企業との交流は必要不可欠と思ったからだ。
 ただ、今月に入り、官民の不正な癒着が浮き彫りとなる事件が相次いでいるのも事実。まずは今月8日。水門工事を巡る入札談合で、元職員が在職時に官製談合を主導したとして、公正取引委員会は国交省に官製談合防止法を適用、改善措置を求めた。同談合において、国交省職員の民間企業への天下りと、受け入れ企業の受注が連動している実態も浮かび上がっているという。そして続く9日。今度は厚労省職員が逮捕された。逮捕されたのは埼玉県に出向中の医系技官。同技官は医療機器販売会社の社員とともに厚労科研費をだまし取ったとされている。
 官民の不正な関係が明らかになる中、政府は今国会に国家公務員制度の改革法案を提出する。各省庁などの強い反発があり、今後の方向性はまだはっきりしていないが、政府原案では、各省庁が行っている職員の再就職あっせんを全面禁止、創設する「人材バンク」に管理を一元化していく方針を示している。 
 医薬品の承認審査の迅速化には、総合機構のパフォーマンス強化は必須。ドラッグラグ解消に向けてようやく動き出した良い流れ。止まらせてはならない。
(2007年3月23日掲載)