薬事ニュース社
オピニオン

>>>みんながマスクを外せる日まで<<<
 岸田内閣が10月4日に発足した。岸田内閣が何をできるかは、衆議院選挙以降のこととなるが、何はともあれ新型コロナウイルス感染症対策であろう。岸田首相は、就任会見で「常に最悪の事態を想定して対応する」と述べたが、その舌の根の乾かぬ内に、斉藤鉄夫国交相が、Go To トラベル事業の再開に向けて検討していく考えを示した。このニュースを見て、はっきり言って落胆した。これでは、野党から「表紙だけ変えても中身は変わらない」と言われても仕方がない。もし、専門家が警鐘を鳴らしているように、11月に第6波が来たとしても、これまでと同じような自粛頼みの緊急事態宣言が繰り返されるだけなのではないかと思ってしまう。
 2020年夏に行われた「Go To キャンペーン」は失策だったと思う。もちろん、観光業を回復させる効果があったことは否定しないし、再開を待ち望む声も強いことは承知している。しかし、キャンペーンがトリガーとなり、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化していったことは説明不要だろう。日本医師会会長も「きっかけになったことは間違いない」と言っているのだ。また、あの失敗を繰り返そうというのだろうか。収束を前提として再開の時期や内容を検討していくとしているが、先日会った製薬メーカーの人も「少なくとも今言うような話ではない」と語気を強めていた。みんながマスクを外せる日が来るまで、先送りすべき事業だと考えている。
(2021年10月15日掲載)