薬事ニュース社
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>>>遠藤氏のラスカー賞受賞<<<
 ここ最近の日本における話題といえば、福田首相による突然の辞意表明や三笠フーズによる事故米転売問題、大相撲の大麻疑惑、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻による影響等、暗く、憤りを感じる内容が多く、本当に気が滅入ってしまう。
 こうした中、米国のアルバート・アンド・メアリー・ラスカー財団から、米国で最も権威があると言われている医学賞「ラスカー賞」の今年度の受賞者として、バイオファーム研究所の遠藤章所長らを選んだことが発表された。遠藤氏といえば、三共の研究員時代に血中コレステロールを低下させる“スタチン”を発見した人物で、今回の受賞もこの功績によるもの。ラスカー賞は、ノーベル賞の登竜門とも言われており、遠藤氏がこのような名誉ある賞を受賞したというニュースは、暗い話題の続発にウンザリしていた日本人にとって、大きな光明となった。
 “スタチン”に代表されるように、画期的な新薬の創出は、一企業を潤すということ以上に、医療における世界規模での貢献という観点から大きな意味を持つ。このことは、最近の医療、創薬におけるカテゴライズが、よりパーソナルな視点に立って細分化されつつある現在においても何ら変わりはない。スタチンに続く次なる発見も日本人からと思うのは、身内贔屓が過ぎるだろうか。
 今日26日は、ラスカー賞の授賞式がニューヨークで行われる日。遠藤氏の功績に心から感謝するとともに、祝福の意を表したい。
(2008年9月26日掲載)