薬事ニュース社
オピニオン

>>>「告白」<<<
 告白します。筆者はKK世代です。それだけではありません。あの清原和博と、たった1日しか、誕生日が違わないんです。
 だからどうした、と言われそうだが、高校時代から、気になる「同級生」ではあった。高校3年の夏は、受験生にもかかわらず、テレビの高校野球中継に釘付けになった。決勝戦での神懸かり的な打撃には、正直、興奮した。
 そうはいっても、特別、肩入れしていたわけではない。ただずっと、目の離せない選手であったことも間違いない。三振も本塁打も、絵になった。引退の時は、それなりに感慨深かった。でも、まあその程度のものだ。一野球ファンが、一選手に抱く感情以上のものはなかった。
 強い関心を抱いたのは、2年前に覚醒剤取締法違反で逮捕されてからかも知れない。プロ野球歴代5位の通算525本の本塁打を放つなど、野球界の頂点を極めた人間がなぜ?そんな率直な疑問から、この「告白」という書籍を手に取った。スポーツ雑誌に掲載された、清原和博への1年にわたるインタビューを1冊にまとめたものだ。読んだ感想は……まあ、詳しくは触れないが、もやもやとしたやり切れなさだけが残ったというのが正直なところ。医薬品業界に身を置く者としては、「改めて違法薬物の恐ろしさに思いを致した」とでも言うべきなのだろうが、そんな紋切り型の言葉ではとても収まり切れない。お世辞にも心躍る本とは言えないが、興味のある方はご一読を。
 今年は夏の甲子園が100回記念大会を迎え、例年以上の盛り上がりを見せた。33年前と同じ8月21日に行われた決勝戦には清原も観戦に訪れたという。奇しくも、全国高校野球選手権大会の第1回開催は1915年8月18日。つまり、清原の生まれる52年前の、清原が誕生したのとまったく同じ日に、高校野球の歴史は始まった。あの85年夏の決勝、「甲子園は清原のためにあるのか」というアナウンサーの絶叫は、いかにも示唆に富んでいた。
(2018年8月31日掲載)