薬事ニュース社
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>>>「ニート」に87億円<<<
 社会問題化している「ニート」。その定義は、厚労省によると、「非労働力人口のうち15~34歳、卒業者、未婚で、家事・通学をしていない者」。「フリーター」と混同されがちだが、その違いは就職する意思の有無だそうだ。ニート人口は年々急増し03年で約52万人に達成、2015年には109万人を突破する見方もある。
 一言で「ニート」といっても実態は様々で、大別すると①会社勤めでないライフスタイルを探している人②社会的引きこもりのように精神的に病んでいる人③子どものころから勉強してこない怠け者で社会に出ようのない人――の3つに分類できるとか。厚労省が危機感を抱いているのが②と③のニートで、そこに特化した対策費として06年度に前年度と同額の87億円の予算を投じることに決めた。文科省など政府全体だと軽く100億円は超える。財政難でお財布の紐がきつい筈の財務省だが、ある人の「話題性のあるキャッチーな施策には予算をつけたがる」の言葉然り、ニート対策に対する紐は緩いようだ。
 しかし政府が多額の予算をかけてまでニート対策に取り組むことに国民は、「働いていない人のために働いている人の税金が使われることに納得がいかない」と手厳しい反応も。厚労省は今年度に合宿生活で生活訓練等を通じて、働く自信を持たせる「若者自立塾」を全国20カ所に設置した。が、そのカリキュラムをみると、全ての箇所がそうではないが、パソコン講習や和紙作りなど町のカルチャースクールと変わらない所もある。これで本当にニートから社会人への転身の流れができるのか、その効果に疑問を抱く。そんな中、政府は、複数省庁に跨るニート対策の効果を調べる政策評価を06-07年度に実施すると発表した。働いた税金が使われている1人として、今はその評価結果を待ちたい。
(2006年1月20日掲載)