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>>>後発品業界再編は進むか<<<
 2019年を振り返ると、21年度から始まる毎年薬価改定の影響を見据え、後発品業界再編の動きが加速した1年だったように思える。
 3月に富士フイルムファーマが解散。東邦HD子会社の共創未来ファーマに製品を引き継いだ。富士フイルムファーマは09年11月に設立されたため、10年に満たない活動期間となった。4月には日医工がエルメッドエーザイを完全子会社化。日医工は世界ジェネリックメーカートップ10入りを目標に掲げ、後発品事業で積極的にM&Aを実施している。
 また外資系後発品企業が国内市場から撤退する動きも目立った。インドの後発品大手ルピンは11月、傘下の共和薬品工業を投資ファンドに売却すると発表。アスペンも同月、麻酔薬などの約20の後発品を販売している日本事業をサンドに売却することを決めた。端的に言ってしまえば、薬価の毎年改定を控える上、縮小が予想される日本市場を見切った格好だ。
 国内後発品メーカーでは海外展開を目指す動きも加速した。東和薬品は12月、スペインの大手医薬品メーカーのエステベグループから、後発品事業を展開するペンサインベストメンツ社を389億円で買収すると発表。同社による海外メーカー買収は初で、欧州と米国での販売網を獲得した。吉田逸郎社長は会見で、「本格的な海外進出を目指すことになる」と買収の狙いを説明した。日医工は16年に、沢井製薬も17年に米国企業を買収しており、同社も海外市場進出への足がかりを築いた形だ。
 国内で流通する薬剤に占める後発品の数量シェアは政府が目標とする80%に迫り、新薬メーカーが後発品子会社を手放す動きが相次ぐなど、市場は曲がり角を迎える。業界再編の機運は高まりつつあるように感じるが、今後どのように進んでいくのか。今年も注視していきたい。
(2020年1月10日掲載)