薬事ニュース社
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>>>植松日医会長に期待すること<<<
 日本医師会の会長選挙が4月1日行われ、医療費抑制策をスローガンに掲げる小泉政権の医療構造改革に対し反対姿勢を展開していた前大阪府医師会長の植松治雄氏が初当選した。
 医師会員の多くが「小泉改革」に不満を持っているだけに、今後の植松氏の小泉政権への対応姿勢に注目が集まるところ。これに応えるかのように、植松会長は選挙後の会見で「市場経済原理を軸とした小泉改革での医療は社会保障の理念が何も出ていない」と批判した。
 確かに小泉首相の目指す医療改革に理念が見えるとは言い難い。首相はトップダウン方式を盾に、日本の社会保障をどうしたいのかという根幹となる議論を省略して、いきなり財源問題に突入した。これでは国民に将来への不安感を増大させるだけで逆効果だ。
 植松会長は朝日新聞のインタビューで、「支持率の高い小泉さんに対抗するため、国民の支持率を高めたい」と語っていた。国民の支持を得るためには、「診療報酬アップを求める圧力団体」というイメージを払拭することが必須となる。それには国民が切望している医師免許の更新制導入やカルテの全面開示等に対処することではないだろうか。
 植松会長は選挙後の会見でこうも述べた。「医師会の考えを分かって貰えるよう首相、国民との対話から始めていきたい」と。これに大いに期待したい。

(2004年5月7日掲載)