薬事ニュース社
オピニオン

>>>AEDの貢献<<<
 「第3回東京マラソン」において、太っていることで有名なコメディアンがコース上で意識を失って倒れ、一時心肺停止状態になるという事故が起きた。幸いにも、このコメディアンは回復し、現在のところ命に別状はないという。心肺停止という極めて重大な局面から彼を救ったのは、現場関係者の迅速かつ適切な対応であることは言うまでないが、近年普及してきた自動体外式徐細動器(AED)の貢献も忘れてはならない。
 AEDは、救急救命における有効なツールとして、医療機関のみならず学校や公共施設、商業施設を中心に急速に普及している。今後、東京マラソンの事例が、AEDの普及を更に後押しするだろう。ただ、注意しなければならないのは、最近、このAEDの管理に関して厚生労働省から一本の通知が関係者に出されたこと。AEDの設置者や製造販売業者に対して、日常点検の実施や電極パッド・バッテリの交換時期の明示などを指示している。
 調べてみると、一般的にAEDの使用年限は4~6年程度とされているが、この一部分である電極パッドやバッテリの耐久年限は、前者が1~2年、後者が2~5年とのこと。つまり、初期投資としてAED本体1台におよそ20万円~50万円がかかる上、管理コストとして電極パッド代1万円~2万円、バッテリ代3万円~8万円が、しかるべき時期にかかってくるということになる。当然、取替えは設置者負担。自身の危機管理のために、個人としてAEDの購入を考えてみたが、ここは基本に戻り、運動・ダイエットから始めた方がよさそうだ。
(2009年5月8日掲載)