薬事ニュース社
オピニオン

>>>住めば都と申しますが<<<
 何でもランク付けしたがるのは万国共通の心理のようで、スパコンの解析速度から世界の大学ランキングまであらゆるものが格付けされ、日本では都道府県幸福度ランキングなんていうものまで出現したが(ちなみにトップ3は福井、富山、石川の北陸3県で、最下位は大阪)、日本でもっとも著名なランキングのひとつといえば、某雑誌の名物企画である「住みたい街ランキング」。東京の「住みたい街」ランクのトップには6年連続で吉祥寺が君臨しているが、一方で、実際に「住んでよかった街」の1位には中野が選ばれ、吉祥寺は3位に後退。いわば「理想と現実のギャップ」を浮き彫りにしていて興味深い。両方の街にそれぞれ10年以上の在住経験がある筆者も、この結果には思わず膝を叩いたものである。
 さて、医療界で有名なランキングといえば「疾病別病院ランキング」とか「全国名医ランキング」の類だが、先日、自分が入院する破目になりふと思った。医師や手術の良し悪しについて論じたガイドの類は数多あれど、入院環境の快適さに焦点を絞って掘り下げたものはついぞ見かけたことがないな、と。もちろん、医療法上のシバリがあることは重々承知しているし、「病院はホテルではない」といわれればそれまでだが、病状回復の点でも入院環境が快適か不快かは非常に重要、というのが入院患者になってみての実感。入院に際して、医師の評判や手術症例数などは、その気になればネットで簡単に調べることもできるが、病棟の生活環境に関しては「出たとこ勝負」というか、入ってみなければ分からない。特に大切なのは看護師。いざ手術が済んでしまえば、医師よりもむしろ看護師との付き合いのほうが密接だったりするのだから。折りしも現在、「特定看護師」創設に向けた議論が急ピッチだが、これ以上看護師の仕事を増やして大丈夫なのかいな、と思ったりもするのである。
(2011年11月25日掲載)