薬事ニュース社
オピニオン

>>>自分が患者だったら・・・?<<<
 「先生が忙しそうで聞けない」「先生が怖いから聞けない」――。2人に1人はがんになる時代。がんは何も特別な疾患ではなくなった。さらに最近では、医学が進歩し、がん生存率も上昇。がんも慢性疾患のひとつだという考え方も出てきている。しかしその一方で、未だに主治医とのコミュニケーションに苦労しているがん患者が多いことも事実だ。自らがんに罹患した経験をもつ岸本葉子氏は、患者もがんと向き合う力をつけるべきと主張。不安を感じる患者が多い中、インターネットや本などで情報を得ることはもちろんのこと、主治医に対して聞きたいことは聞き、きちんとしたコミュニケーションをとるべきと話す。
 「下手な専門家より、患者自身の方がよっぽど勉強している」――。がん患者の中には、政府の医療政策決定において、患者代表をもっと入れて欲しいとの声もあがる。しかしその一方で、患者代表として参加しても、「形だけなのではないか」と不満を漏らす声も現状にはある。がん対策推進基本計画策定に委員として参加した「癌と共に生きる会」の海辺陽子氏は、協議会に参加したものの、「(患者の意見を踏まえた上で作ったという)アリバイ作りに使われているのかと思った」と話す。
 「患者中心の医療」。何度となく口にされてきたこの言葉。ただ、本当に医療の現場がそうなっているかというと、まだまだ疑問が残るのが現状だ。何かを決めようとする時、色々な立場の人が好き放題に言う。ただ、その中で、常に「自分が患者だったら・・・」を考えれば、方向性もそう大きくぶれることはない。仕事がら、色々な立場の人から話を聞くことが多いが、そうした当たり前のことを、最近になって改めて気づかされた。
(2008年3月14日掲載)