薬事ニュース社
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>>>「ヒドラ」か「鵺(ぬえ)」か<<<
 「ヒドラ」という九頭の大蛇がいる。その首を切っても切ってもまた新しく生えてきてキリがない、という厄介な怪物としてギリシャ神話に登場するが、医薬部外品などはその気(け)がある。OTCから切られても次々に新しいものがでてくる。また大枠では医薬部外品ながらも、 99 年の「新指定医薬部外品」と今回の「新範囲医薬部外品」で、全3種類存在することも、ハタからみればずいぶんと奇怪に映る。
 特に新範囲医薬部外品は、「医薬品成分そのまま」という出自のあいまいさにくわえ、確信犯的マーケティングにより、CVS等では「医薬部外品である」との認識なしで買われることもあるかもしれない。そういう意味で解禁賛成派は、今回の 371 品目へのそっけない評価の裏側で、案外、勝利感を得ているフシもある。一方、反対派は、それはあくまでも「医薬部外品」で、解禁にはあたらず、との評価で納得させられている感がある。それぞれの関係者に対して都合のよい解釈の顔を持っているという意味でも、複頭の怪物然としていないだろうか。
 もっともこの新範囲医薬部外品はヒドラというよりも、昨年くりひろげられた神学論争的な規制緩和議論の落とし前として、無理やり生みだされた“鵺(ぬえ)”のようなもの、といえなくもない。もちろん怪物を生みだす母体というものがある。そのフランケンシュタイン博士的存在は、厚生労働省なのか、それとも強要しつづけた規制改革組織なのか。

(2004年9月24日掲載)