薬事ニュース社
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>>>品質問題と安定供給<<<
 日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は3月24日、ジェネリック医薬品の信頼回復に向けた取組みに関する記者説明会を開催した。GE薬協の澤井会長は「今回の我々の取り組みにより、不正な医薬品は市場に流通しないという体制の基本ができた」と一つの総括を示した。全会員企業における製造販売承認書と製造実態の自主点検の実施、協会のGMP相談体制の充実など、二度とGMP違反による品質問題を起こさないための取り組みを進めてきた。
 一方で、ジェネリック医薬品の安定供給体制の確保という面については、課題は残されたままだ。数量シェア80%目標を達成するため、各社は増産体制を整えた。そして、大手メーカーが占めるシェアが広がった。その大手メーカー1社が供給困難な状況に陥れば、業界として供給不足が起こる。今回はGMP違反による供給停止がきっかけとなったが、火災などの事故、地震などの災害などで供給困難な状況に陥る企業が出ることも十分にあり得たのだ。GMP違反が起こらない体制を構築するだけでは、安定供給体制が確保できるとは言えない。3月16日に発生した地震の影響により、火力発電所が停止した。電力需要を賄いきれない状況にあることから、経済産業省は「需給ひっ迫警報」を発出した。結果的に大規模停電は免れたが、それは他エリアからの電力融通と揚水発電という備えが働いたからだ。GE業界としても「備え」を模索していく必要がある。
(2022年4月1日掲載)