薬事ニュース社
オピニオン

>>>ワクチン・リテラシー<<<
 私の周辺の話で恐縮だが、新型コロナのワクチン接種を受けた人が増えている。看護師や薬剤師といった前線でコロナウイルスと対峙している医療関係者のみならず、歯科診療所、ドラッグストア等に勤務する専門職以外のスタッフといった範囲までワクチンの接種が進みつつある。ただ、社会的なワクチンへの関心がコロナウイルスに大きく傾く一方で、そのほかのワクチン接種に対する機会の停滞が問題視されている。既に厚労省は小児の予防接種について予定通りに行うことを呼びかけているが、「病院・診療所から距離を置いている」という親御さんは少なくない(私の周辺の話)。ワクチン接種と言えば2019年から40歳から57歳の男性を対象に、風疹抗体検査・予防接種のクーポン券の配布が自治体を通じて対象の年齢層に向けて送られている。しかし、コロナ禍が直撃し、クーポン券に利用者して抗体検査を受けた人の割合は約16%、予防接種を受けたのは約30%と、低空飛行状態に陥っている。翻ってコロナワクチンは、今後は幅広い世代への接種がスタートすることになるが、そもそも論でワクチン接種に対する認識をどのように醸成していくかが課題ではないか。コロナに限らず、ワクチン・予防接種を行うことの意味について、改めて国民的リテラシーの育成が必要なのかもしれない。
(2021年5月28日掲載)