薬事ニュース社
オピニオン

>>>ダイエー問題に係る一考察<<<
 大手スーパー、ダイエーの経営再建問題に関する一連のドタバタ劇は、産業再生機構、銀行、政府と、それぞれの思惑が交錯した結果、ダイエーが膝を屈する形で一応の決着がついた。一庶民の感覚から言えば、ダイエーが生活圏に無い人間にとっては関係ないだろうし、仮にあったとしても、別の店を探すという話。多くの社員のため、と言えば聞こえはいいが、一企業の単なる経営上の失敗を、“大手”というだけでナントカシテヤロウという構図を見るにつけても、これが個人や中小規模の商店であったなら・・・と、憤りを感じずにはいられない。
 気が付けば、かつて庶民の生活の場として賑わいをみせていた商店街(八百屋、魚屋、花屋、薬屋、etc・・・)は、一部の例外を除き、衰退の一途を辿っている。ダイエーに代表される、ナンデモソロウ=利便性が全面に打ち出されたライトの華やかさに目を奪われ、ここに投資をし続けてきた庶民の功罪の、罪の部分がようやく形になって現れたという側面がある。
 現在進められている規制緩和をとってみても、市場原理の声にノミ耳を傾け、ガムシャラに突き進んでいる。「クニあってのヒト」か「ヒトあってのクニ」ということについては結論を得ない議論の最たるものだが、既に、フルキヨキ日本の社会を形成してきた両者の関係を再現することは非常に困難になってしまった。ダイエー問題にしろ、何にしろ、全ては一つの流れの中にあるのだ。

(2004年10月22日掲載)