薬事ニュース社
オピニオン

>>>「危険ドラッグ」を撲滅へ<<<
 関西から上京して間もなくの頃、見るからにおのぼりさんといった具合に渋谷をうろついていると、大通りを一本外れた路地に怪しげな門構えのハーブ店を見つけて驚いたのを覚えている。当時はまだ「脱法ハーブ」などと違法なのかどうかよく分からない名前で呼ばれていたが、それにしても明らかに不審な店が普通に営業していて「やっぱり東京は怖いところだなぁ」などとしみじみ感じたものだ。
 一昔前はシンナーで歯が抜けて間抜けな顔になったやつが私の周りにも何人かいた(もちろん私はやっていない)が、それでもやはり不良の遊びという印象だった。ところが脱法ハーブは、「脱法」という曖昧さと「ハーブ」が持つ何となくオシャレな雰囲気が相まってか、若い世代を中心にいつの間にか一気に広まったように感じる。とはいえ危険な薬物には違いなく、「脱法ハーブ」が絡む事件や事故が相次いだために政府は様々な対策に乗り出した。
 その中でも個人的に最も注目した取組みは、名称を「危険ドラッグ」にしたことだ。「ハーブ」から漂うオシャレ感を台無しにするこのネーミングセンスが、意図したものであるならば拍手を送るべきだろう。とりあえず茶化すのはここまでにして、厚生労働省は「危険ドラッグ」対策の強化に向け約3億円を15年度予算案に盛り込み、14年度補正予算では約4億円を計上した。本気度を示す額だと信じて、実効性のある施策を期待したい。
(2015年3月13日掲載)