薬事ニュース社
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>>>登録販売者、ジェネリック促進の出鼻をくじく<<<
 厚生労働省では今年度、地方レベルの協議会を設置し、ジェネリック薬(GE)促進を図るための予算を3760万円計上している。しかし、すべての地方が協議会を設置するわけではない。理由はいくつかある。詳細は本紙既報(8月22日付)に譲るが、そこで紹介しなかった理由に、実は登録販売者試験がある。
 登録販売者は、一般用医薬品(OTC)の販売を新たに規定する改正薬事法で新たに設けられる専門家。リスクに応じて3分類されたOTCのうち、来年度完全施行の同法下でミドル、ローリスクの第二、三類医薬品を扱える。今年度は、その登録販売者試験がはじめて行われる年でもある(一部地域では第1回試験を終了)。この試験の実施主体は各都道府県で、ハード、ソフト含め現場で実務を担うのが当該薬務部署。そしてGE促進のための協議会設置を担うのも同じ部署だ。
 登録販売者試験は改正薬事法の完全施行が来年度に迫っていることに加え、十分な登録販売者を確保し、円滑な制度運用のために年2回程度の実施が求められている。「その作業もあって(GE協議会まで)手が出せない」と本音を語る地方担当官もいる。一方、GEに求められているマクロの目標は「2012年までに30%」で、まだ猶予がある。結果、GEは後回しにされた。国を挙げてのGE促進も、登録販売者という思わぬ伏兵に出鼻をくじかれた、ともいえる。が、厚労省では来年度、協議会設置予算を今年度の2倍超にあたる8230万円要求。さらに「地方とも相談しながらその独自性を尊重しつつ、GEの取り組みが円滑に進むよう」(経済課)考慮する意向を提示。
 来年度、各地方では“伏兵”の動きも落ち着き、協議会も2年目の余裕が生まれる。GE促進スロットルは今年度よりも大きく解き放たれることになるか。
(2008年9月5日掲載)