薬事ニュース社
オピニオン

>>>官邸主導の薬価制度改革<<<
 政府の経済財政諮問会議で薬価制度の抜本改革に向けた議論が本格化した。民間議員は11月25日の諮問会議で「薬価制度の抜本改革等に向けて」と題したペーパーを提出し、薬価の毎年改定など様々な改革を提言。安倍晋三首相も「年内に基本方針を取りまとめて頂きたい」と指示した。薬価制度改革に向けた骨格の議論は今や、中央社会保険医療協議会の頭を越えて諮問会議主導で進んでいる状況だ。
 官邸サイドが薬価制度改革に本腰を入れた背景について、諮問会議の新浪剛史民間議員は「オプジーボを契機に問題意識が始まった」と解説する。複数の政府関係者は「オプジーボの国内価格が、米国や英国に比べて高額である点が問題となった。その事実を国会で野党の小池晃参院議員から追及され、安倍首相や菅義偉官房長官の目にとまり、薬価に関する官邸サイドの問題意識が一気に加速した」と話す。
 実際に25日の諮問会議で菅官房長官は、「オプジーボ」の事例を引き合いに出しながら「適応拡大の際の価格の見直しは必須。毎年の薬価調査と改定が必要だ」と発言。さらに会議後の記者ブリーフィングで、内閣府の担当者は菅官房長官の発言について「熱いうちに打てと発言したと記憶している」とあえて補足している。ある政府関係者は「官房長官の発言は影響が大きい。薬価の毎年改定について、(全面改定か部分改定なのか)どこまでを念頭に入れた発言なのか分からないが、いずれにしても改定頻度のあり方にメスが入るのは間違いない」と指摘する。
(2016年12月9日掲載)