薬事ニュース社
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>>>セルフメディケーションの環境整備<<<
 「今年はセルフメディケーションの環境整備の年だ」――。厚生労働省・医薬食品局の神田裕二局長は日本薬剤師会の賀詞交歓会でこのように力説した。OTC薬の備蓄など一定の基準を満たした薬局を健康情報拠点として公表する「健康ナビステーション(仮称)」構想など3つの施策に力を注ぐ意向を明言している。
 「健康ナビステーション」の基準づくりに際して厚労省は、要指導医薬品を含むOTC薬の備蓄数を600品目程度で調整しているようだ。都道府県薬剤師会の関係者の間では、「600品目のOTC薬を取り扱うのは経営的にも厳しい」と溜息が漏れるが、厚労省の中には「800品目」などを推す声もある。セルフメディケーションの推進を巡ってはまた、調剤報酬体系に反映させようという機運も高まっている。
 こうした一連の動向からは、何としてでも薬局にOTC薬を扱わせたい厚労省の意向が滲み出ており、日本薬剤師会も歩調を合わせて対応する姿勢をみせている。個人経営の薬局・薬剤師にとっては「大変厳しい経営を迫られる」との思いもあるだろうが、OTC薬の扱いを含むセルフメディケーションの推進は、相次ぐ医薬分業バッシングへの対策でもある。今こそ薬局は、OTC薬などの供給や健康相談にまで対応する「町の科学者」に戻るべきだろう。
(2015年1月23日掲載)