薬事ニュース社
オピニオン

>>>緊張のゆくえ<<<
 歌手のaikoが好きだ。初めて買ったシングルは2000年にリリースされた「ボーイフレンド」で、それからライブにも頻繁に足を運んでいる。彼女の魅力は、王道とは異なるコード進行にポップなメロディを泳がせること、心象風景の見事な描写、伸びやかな歌声、ファッションセンス、何年経っても変わらず可愛いルックス…いろいろあるが、何といってもその親しみやすさは大きな魅力の1つ。特にライブではファンとの会話が何度も繰り広げられる。
 aikoは「緊張する!!」とよく言う。某テレビ番組や、あるアーティストのライブにゲスト出演した時のことを振り返って、そして今からライブで歌うことに対して、手足をバタバタさせて「めちゃ緊張する!」と声を上げる。実際、20年もライブを見ていると「あ、aiko緊張しているな」というのが、声の出方から伝わってくる。その都度わたしは、「歌手生活20年以上のベテランでも、こんなに緊張して舞台に立っているんだなぁ」と思う。
 記者になって3年目となる季節。最近はいろいろな方にインタビューをさせていただく機会も多くなった。下調べもするし事前準備もする、そもそも聞きたい話があるから取材を依頼する。それでもインタビュー前は食事を口にできないし、話しながら頭が真っ白になることはザラ。終了後、汗びっしょりになった身体の熱を冷ましながら「いつか緊張しないでできる日がくるのだろうか」と思う。同時に、震えた声で歌うaikoの姿がよぎる。
(2020年7月24日掲載)