薬事ニュース社
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>>>時代の流れ<<<
 要指導医薬品の対面販売に限定規制に関する裁判で原告の楽天側の敗訴が確定した。最高裁判所は3月18日に判決を下し、要指導薬を巡る一定の規制についていずれも「相応の合理性がある」ことを認めた。この判決により、一連の裁判は区切りを迎える。一般用医薬品のインターネット販売をめぐる裁判は、2009年に当時のケンコーコムなどが国を相手取って裁判を起こしたことに遡る。一般薬のネット販売規制については、当時の薬機法に明確な記載はなく、省令でネット等販売を規制することは憲法違反であるという趣旨の内容だった。地裁判決では販売規制の合理性を認めたが、高裁ではネット販売を認める逆転判決が下され、最高裁においても高裁判決を支持、国の敗訴が確定した。その後の法改正では対面の原則を法律に盛り込み、今回の要指導薬を巡る裁判では国が勝訴、言うなれば国と楽天は1勝1敗だ。ただ、2009年から21年までの間に社会環境は大きく変わった。デジタル技術の進展と浸透は言わずもがな、何よりもネット販売そのものが完全に定着した。そしてこの裁判への関心度も同じだ。敗訴となった地裁判決の際、原告側は厚労省内で記者会見を開き、机を叩いて声を荒げた。翻って今回、最高裁には記者を含めて僅か7人の傍聴に過ぎなかった。
(2021年3月26日掲載)