薬事ニュース社
オピニオン

>>>日本の治験の行方<<<
 日本医師会が主導している医師主導型の治験事業に関して話を聞きに行った時のこと。ある日医関係者は「(日医が)本来やるべきことではないと思っている」とし、「厚労省や文科省、大学が行うべきことだ」と述べていた。日医の「大規模治験ネットワーク」に関しては、医師自身がプロトコル作成などを行うのは非常に労力を要し、「応募数自体が少ない」と説明。現状では、医師主導型治験はなかなか進んでおらず、かといって日医が積極的かといえば、あまりそういった印象は受けなかった。
 では、企業が実施している治験はどうか。先日、学会に行ってきた際に、おもしろいやりとりがあった。演者が、それぞれ違う企業が販売している2つの薬剤を比較した大規模臨床試験の中間報告を発表。すると、会場から「それぞれの企業から研究費は出ていたのか。その金額に差はなかったのか。(治験の)審査委員会に製薬企業の関係者はいなかったのか」などといった質問が飛び出した。それに対し、演者は、イニシャルでスポンサー企業をあげ、「中立性は保たれている」と強調していた。
 厚労省は03年、「全国治験活性化3ヵ年計画」を策定。それを受け、企業は勿論のこと、現在日本医師会や国立病院機構、医薬品医療機器総合機構など様々なところで治験推進事業が進んでいる。いずれにせよ、それぞれの事業が、形骸化せず、質の高い治験に繋がることを期待したい。

(2004年10月29日掲載)