薬事ニュース社
オピニオン

>>>合併についての短い考察<<<
 「合併」の是非が世間を騒がせている。製薬業界のことではない。プロ野球、パ・リーグの近鉄とオリックスが、来シーズンから1つの球団となることを電撃表明したのをきっかけに、「 10 球団による1リーグ制への移行」という「リーグ合併」にまで話は及び、選手はおろか社会一般をも巻き込んだ大論争を引き起こす事態となっている。一時は「1リーグ制移行」が既定路線の如く語られる段階にまで発展したが、最近は世論を意識してか、これまで某人気球団の「天皇」の顔色をうかがっていたセ・リーグの球団から「2リーグ制堅持」の声が上がり、事態は迷走の度を一層増しているようだ。何よりも、資金力のある特定球団に選手が集中するなどの現行制度の構造的欠陥を、合併という目先の「密」で覆い隠そうとする姿勢に、世論は懐疑の目を向けているだ。
 「合併=2つ以上のものを合わせて1つにすること。また、1つになること」。広辞苑は「合併」をこう定義する。文字通り、「2つ以上」のものを「1つにすること」に伴う困難は、「合併」がしばしば「結婚」にたとえられる所以でもあろう。「恋愛結婚」であっても、「1つになる」には相当の努力を要する。いわんやそれが、何らかの意図を他に隠しもった「政略結婚」であれば、たとえ形の上では「1つ」になっても、後々まで遺恨を残す懸念もある。そうした失敗例は、企業合併の世界でも事欠かない。再編間近の国内製薬業界にも参考となる話ではある。

(2004年7月30日掲載)