薬事ニュース社
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>>>亀田、朝青龍、医薬品産業?<<<
 ボクシングの世界タイトルマッチで悪質な反則行為を行ったとして、プロボクサーの亀田大毅選手と父親兼トレーナーの史郎氏が槍玉に挙げられている。K-1などの総合格闘技に押され、低迷するボクシング人気復活の切り札としてテレビを中心とするメディアに祭り上げられた挙句の集中砲火、である。
 少し前には国技・大相撲でも、横綱・朝青龍の巡業欠場問題をめぐり同じような騒動が持ち上がった。構図は驚くほど似ている。人気者であるが故にメディアへの露出度は高く、従って関係者(相撲協会、ボクシング協会)も、時に目に余る彼らの言動を強く戒めることはしなかった。
 しかし一旦、世論の批判を浴びるや、メディアも関係者も手のひらを返すがごとく一斉にバッシングに走る。もちろん、当人たちに非があることは歴然なのだが、それにしても世論とマスメディアの変わり身の早さ、おだてにおだて、貶める時の切り返しの鋭さときたら、世界チャンピオンや横綱も顔負けの敏捷な身のこなしである。
 そういえばほんの一年ほど前には、世論(あるいは世論という名のメディア)の圧倒的支持を受けた安倍総理も、最後は完膚なきまでに打ちのめされ、貶められて退場した。
 褒めるもけなすも一斉に、というのがこの国の国民性だといってしまえばそれまでだが、いささか心配なのは、「祭り上げられた」前総理に「イノベーションの一丁目一番地」と持ち上げられた医薬品産業の振興気運までが腰砕けにならないか、ということ。タミフルの一件でも分かる通り、「世論」という風向きはすぐに変わる。順風の時こそ気を引き締めてかからねばなるまい。
(2007年11月2日掲載)