薬事ニュース社
オピニオン

>>>リーダーの言葉<<<
 日本製薬団体連合会の森田清新会長は、就任のあいさつで「国民に期待され、歓迎される産業でなければならない」と述べ、業界、厚生労働省はもちろん、それ以外の省庁や政治家、医療関係者、国民に広く、医薬品の価値、存在意義をアピールすることの必要性を強調した。
 また、2期目を迎えた日本製薬工業協会の青木初夫会長は再任に当たって、「国民の健康を守るために、ヘルスケアのパートナーでありプロバイダである医師とも共闘して医療をつくりあげていく」と語った。医療費と言う限られたパイの中で資源配分を争う相手であり、処方権を持つ“お得意様”でもあるという利害関係者であった医師との共闘。とかく“お得意様”の顔色を伺うことの多かった製薬業界として、医療のあるべき姿をどのように描き、主張し、医師と協調していくのか、今から楽しみだ。
 薬価制度や低迷する日本市場の活性化など、業界が直面する課題は多い。そんな中2人のリーダーが、産業界や医療界での製薬産業の位置づけについて、強く意識した発言をしたことは興味深い。
 先発品とジェネリック医薬品という利害が対立する業態を傘下に収める日薬連。製薬協も、研究開発型製薬企業の集団とは言え、メガファーマに伍していこうという企業と、そうでない企業の戦略、意識は大きく異なる。
 2人の発言は、業界内で利害が対立した場合の調整原則となるのではないか。「国民からどう見られているか。国民が何を望んでいるか」「医療の中で製薬企業の果たす役割とは何か」--つまり、内輪の理屈は通用しないと言っているように聞こえた。
(2006年6月2日掲載)