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>>>王になった男と総報酬割<<<
 遅ればせながら、「王になった男」という韓国映画を見た。心から民衆のことを思う国王の姿が描かれたこの映画は、「政治家に見せたい映画」として、韓国大統領選前に公開されたというからおもしろい。王の影武者が15日間で国政改革を行うという話だが、改革の一つに大同法の施行というのがある。これは、土地面積に応じて課税するもので、地主の負担が大きくなり、庶民には減税となるそうだ。これまでは地主層の支持を受けた官僚の抵抗で大同法の施行は見送られ続けてきたが、理想に燃える王の影武者はこれを断行。その際、抵抗勢力は「地主にとって不公平な法だ」と最後の抵抗を試みるが、影武者は「庶民が高い税にあえいでいるのにどこが不公平だ」と一喝し、抵抗を退けた。
 収入に応じて課税する。これと似たような話を、今の日本でも議論している。後期高齢者医療制度への支援金に総報酬割を導入しようというものだ。これで浮いた財源を国民健康保険の財源対策にまわそうという考えに対して、国保を除く支払側委員が反発している。総報酬割自体を否定しているものではないとしつつも、5月24日には連名で要望書を提出し、「短期的な弥縫策(びほうさく)などに議論が矮小化」されていると批判、制度自体を見直す方向で議論すべきだとした。
 どの主張にも一理ある。しかし、それぞれの利害関係でものを言っている感はぬぐえない。「どこが不公平だ」というふうに一喝してくれるリーダーはいないものか。
(2013年6月14日掲載)