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>>>タバコとがん<<<
 国立がん研究センターは8月31日、受動喫煙によって日本人の肺がん発症リスクは約1.3倍になると発表した。日本人における受動喫煙と肺がんの因果関係について、初めて統計学的に有意な関連が示されたという。同センターでは研究成果を踏まえ、受動喫煙による肺がんのリスク評価を「ほぼ確実」から「確実」にアップグレード。がん予防のガイドライン「日本人のためのがん予防法」における受動喫煙の記載を「できるだけ避ける」から「避ける」に改め、明確な目標とした。受動喫煙の防止策としては、公共スペースでの屋内全面禁煙の法制化などを提案している。
 「タバコとがん」を巡っては、厚生労働省のがん対策推進協議会でも議論が進む。8月26日の会議では、17年度からの第3期「がん対策推進基本計画」策定に向け、同センターの理事長でもある中釜斉委員からヒアリングを実施。中釜委員は基本計画の方向性として「予防」などを重視する方針を示し、飲食店を含めた公共スペースの全面禁煙などを提案した。協議会では多くの委員が中釜委員の示した方向性に賛同。喫煙者の肩身はますます狭くなりそうだ。
 しかし、それでもタバコはやめられないという愛煙家も多いだろう。受動喫煙に限って言えば、煙の出ないタバコを吸えば問題は解決する。これを機会に、西部劇のガンマンよろしく噛みタバコを嗜むというのはどうか。無煙つながりで、嗅ぎタバコという選択肢もある。タバコは自宅などで楽しむものと割り切れば、水タバコを吸うのも面白い。もちろん、喫煙者自身のがん予防という観点では無意味だが、それを言っては話が続かない。ガンマン相手に「ガン予防」では、あんまりなオチだ。
(2016年9月16日掲載)