薬事ニュース社
オピニオン

>>>「行列のできる調剤屋さん」なんてのがいまに見られるかも知れません<<<
 私事で恐縮だが昨年暮れ、「かかりつけ」の酒屋が店を閉めた。かれこれ十年以上も贔屓にし続けていた理由は、輸入ウイスキーの品揃えの豊富さ、そして安価さである。見かけはただの「町の酒屋さん」に過ぎないが、侮るなかれ、量販店より平均1割~2割はお得だし、なんといってもほとんど欠品がない。まさにサービス業の鑑。
 で、事情は分からないが、ともかくその酒屋が閉店することになり、ある日、店先に告知の貼り紙が出た。「某月某日12時より全品半額の閉店セール開催」。またひとつ、贔屓の店が失われると嘆いても詮なきこと、せめて最後に愛飲銘柄を買い占めようと気持ちを切り換え、さて当日、開店三十分前に店の様子を窺うとシャッターは依然、閉ざされたまま。見渡せば、休日とはいえ昼前の商店街は人通りもまばらで平穏そのもの。そこで目的の前に所用を済ませ、いざ12時に店先に戻ってみると、な、な、なんとそこには見事な大行列が。店の入口から脇の路地へと延びる二列縦隊の列は、どれだけ目を凝らしても最後尾が見えない&店先にも野次馬がうようよで、買い占め計画はあえなく挫折。酒の代わりに得たのは貴重な教訓のみ。すなわち、この国は本当に油断がならない、ということ。たかが酒屋の閉店セールなどと甘くみるなかれ。酒だろうが牛丼だろうが防寒用肌着だろうが、「お得」となれば、あっという間にどかーんと人だかりができるのだ。恐るべし日本人のバイタリティ(むろん、負け惜しみも半分入ってます)。
 で、話は飛んで、巷間話題の調剤ポイント。お役所はどうも有耶無耶にお茶を濁しているが、高を括っていると、ある日突然、ポイント目当ての大行列が薬局に、なんて騒動になるかも。だって「かかりつけ薬局」なんてお題目よりも、大事なのは「お得感」ですから、この国では。これぞ「国民に貢献する医薬分業」かな!?
(2011年2月4日掲載)