薬事ニュース社
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>>>最も早い者が総取り<<<
 日本初の再生医療等製品を発売しているジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)。このJ-TECの新社長として、富士フイルムの元再生医療事業推進室マネージャーである比留間愛一郎氏が就任する。J-TECは2014年12月に富士フイルムホールディングスの連結子会社となったわけだが、親会社から社長が送り込まれた形になる。比留間氏は、富士フイルムグループとの連携を強め、再生医療がビジネスとして成立することを目指すと抱負を述べた。
 再生医療は、まだ産業として成立していない。大手製薬企業もベンチャー企業などと提携しているものの、本格的に事業の柱にしようという動きは少ない。ただし、再生医療がビジネスとして成立し、事業の柱になり得るとわかったときに、すぐ追いつけるような体制を取っている状態だ。
 ベンチャー側はどう考えいるかというと、ヘリオスの鍵本忠尚社長は、再生医療製品は先に承認を取ったもの勝ちになるとの考えを示している。今の医薬品よりも、早い者勝ちという状況がより顕著になるのが再生医療製品だという。同じ適応症の再生医療製品は、なかなか出せないというのだ。さらに、サンバイオの森敬太社長は、再生医療(製品)は、医薬品に取って代わる存在になるとの見解を示している。つまり、最も早い者が総取りするということだ。富士フイルムHDのいわゆるテコ入れは、このような状況を見据えてのことなのだろう。
(2016年6月10日掲載)