薬事ニュース社
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>>>企業の統合・再編<<<
 先日開かれた中央社会保険医療協議会・薬価専門部会において、後発医薬品の薬価の在り方に関する議論の中で、ある委員から後発品医薬品企業の再編・統合の必要性が訴えられた。中医協という存在が、「診療報酬や薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公的価格を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関」という性質を考えると、多少違和感を覚える。
 確かに、ブロックバスターなどの大型品の特許が切れた際、後発医薬品の参入はかなりの数に上ることもあり、医療機関や卸の負担が大きく増すことから、市場参入に対する制限を設ける必要性について以前より指摘されていた。一昔前のように、いわゆる“売り逃げ”をする企業の存在は、最近では行政の指導などにより大きく減ったと聞いているが、実態としてそのような企業がまだ存在しているならば、医薬品の安定供給という観点で大きな問題だが、生命に関連する企業として相応しくない。
 確かに、「参入数が多いなら企業数を減らしてしまえ」という気持ちは分からなくもないが、企業活動に大きく関わる経済産業省での審議会ならいざ知らず、中医協の場で企業の再編や統合の話を出すのは少し筋が違うように思える。決定権限とは権力である。企業からすれば、中医協の場において薬価のあり方以外の部分について、ほぼ意見を主張する機会が無いので、再編・統合の話はさすがに気の毒に感じる。
(2015年11月6日掲載)