薬事ニュース社
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>>>「少量多品種」からの脱却<<<
 小林化工の品質問題に端を発し、小林化工および日医工に対する業務停止命令で拡大したジェネリック医薬品の供給不安。この問題解消のネックになっているとされるのが、ジェネリック医薬品企業における「少量多品種」の生産体制だ。日本ジェネリック製薬協会の澤井光郎会長は、ジェネリック医薬品企業の工場では、一つのラインで何品目も作っており、毎日、製造する品目が決まっているため、多品目の増産に対応するには、非常に難しい生産構造になっていると説明している。また、日本エスタブリッシュ医薬品研究協議会の松森浩士代表も、「少量多品種」の生産体制は複雑であり非効率だと指摘している。目下のジェネリック医薬品の供給不安を脱し、二度と供給不安を起こさないためには「少量多品種」からのブレイクスルーが求められるのではないだろうか。
 日本のジェネリック医薬品業界をけん引する沢井製薬と東和薬品は、自社の生産設備の増強を進めている。さらに沢井製薬は、小林化工の生産設備と人員を譲受することを発表した。こうした生産量の増強は、すなわち「少量」からの脱却を意味する。だが、単純に大量生産体制には進めない。採算の合わない薬を大量に生産していたら経営は悪化し、それこそ安定供給などできなくなる。厚生労働省では、安定確保医薬品などを定めて対策を立てようとしているが、安定確保医薬品だけを手当しても問題解決には至らない。ジェネリック医薬品の薬価に対する考え方そのものを見直す必要があるのではと感じている。
(2021年12月10日掲載)