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>>>リフィル処方箋を巡る駆け引き<<<
 2022年度診療報酬改定で導入を決定したリフィル処方箋。2021年末、診療報酬の改定率を決めた大臣合意の際の記者会見で、財務省担当者は「合意文書にリフィル処方箋など個別項目が盛り込まれるのは異例」と表現した通り、約110億円の削減効果を前提にして導入を決めた。その一方、日本医師会は中央社会保険医療協議会などにおける当事者間で十分な議論がないままに、言わば「空中戦」で導入されたことで、根強い抵抗感を示していた。事実、制度が開始した4月以降も薬局・薬剤師にリフィル処方箋の初動について話を聞くと、「全く出ない」や「意図的に長期処方を切る医師もいる」という実態を打ち明ける。症状が安定した患者という医師の判断がベースにあることにより、医薬業界の感触ではリフィル処方箋はスロースターターであることがある程度予測されていた。ところが、こうした空気感にいち早く反応したのが財務省だ。4月13日に開かれた財政制度分科会で、出席した民間議員から「日医が消極的」であることや「検証は月次で行うべき」といった発言が相次いだ。要するに医療費削減効果を早々にチェックするべきと宣言した格好だ。さらに同日開催された経済財政諮問会議で岸田文雄総理からは「新たに導入したリフィル処方の使用促進など、医療・介護サービス改革の継続・強化に取組む」と推進することが主張された。大臣合意文書に盛り込まれただけでなく、総理マターとして発言されたことで、国策としてさらにアクセルを踏むことも想定される。いずれにしても医薬関係者の思惑を超えた「政治案件」となることは確実と言えそうだ。
(2022年5月13日掲載)