特集 鼻炎・花粉症
花粉症本番 国民の4人に1人が罹患
――400億円の鼻炎薬市場 好調な目薬やマスク
カゼと花粉症の見分け方、副作用情報など店頭対応が重要
 花粉症の季節が到来した。いまや国民の4人に1人が罹患しているといわれ、まさに国民病だ。花粉症対策のOTCには、鼻炎用内服薬・目薬・点鼻薬などがある。
 鼻炎薬の市場はおよそ400億円。2007年度は微増だったが、花粉の飛散量により大きく変動してはおらず、新製品の参入があるとプラスに働いている。業界の調べによると、08年1~12月の市場は、鼻炎内服薬241億円、鼻炎用点鼻薬99億円、アレルギー用目薬80億円。点眼、点鼻、鼻炎内服とも前同比を見ると好調な推移を見せている。1日2回タイプの鼻炎薬が増えているのが、好調さの要因のようだ。同様に07年は、226億円、95億円、74億円。06年は201億円、89億円、63億円。内服薬、目薬、点鼻薬の比率も花粉の飛散量による変化は特に見られないという。時期で見ると、鼻炎薬・点鼻薬は、鼻カゼに使用する場合もあり、年間を通じて購入されている。
 内服薬のシェアは、トップの大正製薬が20%、以下、佐藤製薬10%、GSK9%、興和7%、エスエス5%。点鼻薬は、佐藤製薬が25%でトップ、以下、第一三共ヘルスケア21%、大正製薬19%、ロート製薬6%、奥田製薬4%と続く。
 花粉対策用目薬の市場は、少しずつではあるが拡大傾向が続いており、ここ数年で目薬市場全体の10%を超えるようになった。07年度は目薬市場全体の13%に当たる約77億円だった。
 このほか花粉症関連商品としては、花粉を洗い流す洗眼薬やマスク、鼻洗浄液など、体内への花粉の侵入を防ぐものや、入ってしまった花粉を洗い流すものがある。マスク市場は、インフルエンザの影響から成長しており、業界関係者は、「早期の花粉症対策がそのままインフルエンザ対策にもなる」とシナジー効果を強調する。また、花粉シーズンには、目を洗浄する洗眼薬市場も活性化する。これらを上手に活用し、花粉症のシーズンを乗り切ることが大切だ。
 ただ、今の時期はかぜが流行シーズンを迎え、花粉症の患者も出始める時期でもある。ひとくちに「かぜ」といっても、症状はさまざま。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、そして熱。時には、吐き気がすることも。風邪の原因となるウイルスは200種類以上あり、その中にはインフルエンザウイルスも含まれている。カゼと花粉症は、①症状のある期間②鼻水などで見分けることが可能だ。かぜは通常、1週間程度で治るが、花粉症は、原因となる花粉が飛んでいる間ずっと続く。また、かぜの場合は、数日でねっとりした鼻汁になるが、花粉症は、さらさらした「水っぱな」のまま。そのほか、目のかゆみがあれば花粉症、実際に熱が出ていればかぜの疑いが強い、という見分け方もできる【表】。
花粉症と風邪の違い
 花粉症の症状風邪の症状
くしゃみ連発してくしゃみがでる。大きなくしゃみが出る。
鼻水水のようにさらさらの鼻水が出る。徐々に粘りのある鼻水にる。
鼻づまり頑固な鼻づまりがある。風邪の期間中のみ。比較的短期間の鼻づまり。
目の症状目のかゆみ、充血がある。腫れぼったい目になっている。目にかゆみなどがほとんど出ない。
熱はまれ。熱がある。
季節毎年決まった月。季節に現れる。数ヶ月に及ぶ。短期間で終わる。
※ロート製薬:花粉症ライターズガイド
 花粉症治療に用いられる抗ヒスタミン薬は、集中力や判断力、作業能率、覚醒維持の働きを有するヒスタミンの働きを阻害する薬剤であるため、鼻の粘膜に作用すると症状を改善するが、脳に作用すると中枢を抑制し、集中力・判断力・作業能率の低下や眠気が生じる。このことから、職業ドライバーは事故を引き起こしてしまう可能性がある。ドライバー以外にも眠気が大敵という受験生も受験本番を迎えている。患者の症状、ニーズに合せた店頭での情報提供、相談機能の活性化が重要だ。
09年春のスギ花粉飛散量は08年の約8割程度
 2009年のスギ花粉の飛散量は、08年の約8割程度と前年よりは少ないものの、過去10年の平均飛散量と同量または若干多いとの見込みで、飛散開始日は2月の15~17日と予想されている。
 日本人の4人に1人は罹患しているといわれる花粉症。08年の有病率は26・5%で10年前より1・6倍に増加している。また、特に花粉の飛散量が多い東京都に限ると06年の調査で有病率は28・2%となり、都民の3・5人に1人が花粉症であると推計されており、特に14歳以下の年齢層で有病率が増加傾向にあるという。今号では、09年春の花粉飛散量および飛散開始時期を紹介する。
2008年春に比べ、西~東日本は同じか多め、北日本は少なめ
飛散開始日は2月15~17日前後
 花粉症の原因となるスギの雄花は、夏から秋にかけて成長し、休眠に入った後、覚醒して開花準備に入る。7月の気温が高く日照時間が長いと雄花が成長して花粉量も増加する。
 ゲリラ雷雨などが特徴的だった2008年の夏は、西~東日本の6月に曇りや雨が多かったものの7~8月は晴れの日が多かった。また、北日本の6月は晴れる日が多かったが7~8月は曇りや雨が多かった。このため、西~東日本の花粉飛散量は昨年と同じか多めで、北日本は少なめとなる。
 飛散開始は、秋から冬および冬から春への気温の変化によって大きく変わるが、08年は11月後半から寒気の影響により、スギの雄花の休眠は十分と考えられる。また、2月は寒気の影響で冬らしい寒さが続くが、3月に入ると一気に春めく予想となっているため、比較的早めに飛散した08年と同じ頃か、やや遅くに飛散する所が多くなり、西~東日本では3月に花粉シーズンのピークに突入すると考えられる。

飛散花粉数が「多い」とされる日は30日前後 重症化の恐れ
 花粉量の程度は、1年のうち1㎝平方に2000個以上の花粉が飛んだら多いとされており、今春の花粉飛散量は昨年よりも少ないが、過去10年(例年)では多いと考えられる。また、1㎝平方に30個以上/日が続くと重症化する恐れがあるが、都内では今春、1㎝平方に30個以上の日が30日前後続くと予想されており、特に注意が必要だ。

マスクによる花粉症対策はインフルエンザ対策にもなり得る
 最も有効な花粉症対策は、花粉の暴露を回避すること。花粉情報に注意し、飛散の多い時間帯の外出は避け、買い物などは飛散量が少ない時間帯にすませてしまう。また、外出する場合は花粉を体内に入れないためにマスク・メガネを使用し、毛足の長い衣類を避けるようにし、帰宅時には衣類や髪をよく払ってから入室、洗顔・うがい・鼻をかむ、室内に花粉がたまらないよう掃除を励行する。マスクの着用は花粉対策に加え、インフルエンザ対策になるため特に有効だ。
 花粉飛散シーズン前にかぜをひくと粘膜の上皮が弱くなり、症状がひどくなることがある。また、たばこも同様に粘膜を傷つけ、多量の飲酒は鼻づまりを悪化させるため、控えめにする。ストレスが強いと免疫機能が低下し、花粉症になりやすくなる。

インターネットなどで飛散状況を確認
 花粉の飛散量は、1日を通じて一定ではなく、時間帯によって大きく変動する。このため、インターネットなどで飛散状況を確認し、飛散が少ないうちに外出する用事を済ませる心がけが必要となる。スギ・ヒノキの花粉飛散状況などを朝・昼・夕・夜の希望の時間帯にメールを配信し、情報を提供する「とうきょう花粉ネット」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kanho/kafun/)や同テレホンサービス(03-3233-1187)、環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)などを活用し、自身でできる花粉症対策が大切だ。
飛散花粉数の予測※1
測定点
区市名
平成21年飛散花粉数予測値平成20年
飛散
花粉数
過去10年間
の平均飛散
花粉数
過去の飛散花粉数※2
最小~
最大
(平成20年比)(過去10年平均比)最小最大
千代田2,830~3,830(0.70~0.95)(0.77~1.04)4,0363,69627710,625
葛飾1,770~2,400(0.58~0.79)(0.80~1.09)3,0562,2031366,444
杉並3,160~4,270(0.51~0.69)(0.76~1.02)6,1494,17211812,897
2,810~3,800(0.58~0.78)(0.80~1.08)4,8783,51924210,618
大田2,810~3,800(0.49~0.66)(0.58~0.79)5,7424,81914812,481
青梅6,500~8,800(0.47~0.63)(0.48~0.65)13,86813,45512537,899
八王子5,210~7,040(0.69~0.94)(0.74~1.00)7,5007,04414224,958
町田2,630~3,560(0.67~0.91)(0.47~0.64)3,9175,56121518,914
小平2,170~2,940(1.07~1.44)(0.68~0.92)2,0353,19829112,345
平均3,320~4,490(0.58~0.79)(0.63~0.85)5,6875,296  
※1 花粉数の単位は、花粉飛散シーズン中に花粉捕集器(ダーラム型)のガラス板1平方センチメートルあたりに付着した花粉の個数(個/平方センチメートル)である。
※2 過去の飛散花粉数(最大、最小)は昭和60年都の観測開始以来のものである。
東京都福祉保健局発表資料
(薬事ニュース 2009年2月6日号掲載)