胃腸薬市場の今
各社の主要製品紹介へ
縮小傾向続く
各社は情報提供を強化
 縮小傾向にある胃腸薬市場、2007年の市場規模も630億円で、前年比約2%減となった。シェア率は、トップが第一三共ヘルスケアの21%、次いで興和16%、太田胃散12%、大正製薬12%、エーザイ7%。健康志向の高まりから暴飲暴食をする人が減少傾向にあることや不景気の影響から会社内での飲み会などが減ったこと、ピロリ菌対策の向上により感染者が減少したなど、生活スタイルや食文化の変化により胃腸薬服用の機会が減少していることが市場縮小の要因として挙げられる。
 胃腸薬市場とは対照的に市場が拡大傾向にある整腸薬は、前年比約4%増の360億円。市場拡大の一因として、胃腸薬と整腸薬の使い分けが明確になってきたことが上げられる。なお、整腸薬市場のシェア率トップは、薬局薬店で「新ビオフェルミンS」の取り扱いが増えたことからビオフェルミン製薬となった。


胃腸薬市場――各社の訴求活動

 市場の縮小傾向が続く中、メーカー各社は訴求対象の絞込み、情報提供や新たなニーズの掘り起こしに努めている。
 加齢に伴い減少していく胃粘液に焦点を当て、整胃をテーマに新しい市場を構築しているセルベール(エーザイ)は、薬局薬店に足を運ぶことが多い女性に対し、TVCMにおいて女性が共感できるシーンを盛り込んでいる。
 また、中高年がメインターゲットとなる胃腸薬の新キャベジンコーワS(興和新薬)は、若年者のアルコール摂取量、特に若い女性のアルコール摂取量が増加傾向にあることから、新規市場の開拓として若年者に向けて、飲みすぎて弱った胃に活用して欲しいと訴えている。
 情報提供をメインの訴求活動としているのは、「どんな下痢でもまずは正露丸」とファーストエイドとしての使用を促す正露丸(大幸薬品)や主成分の漢方薬がなぜ良いのかなどをなんとなくわかっているのではなく、明確にする大正漢方胃腸薬(大正製薬)。
 また、もともと健康なヒトの腸内に住む有益菌を製剤化した新ビオフェルミンS(ビオフェルミン製薬)も、妊婦や高齢者も安心して服用できる点を訴求するとともに、乳酸菌のブランドイメージ浸透を図る。
 一方、売場での対応を見ると、胃腸薬の主力に胃酸分泌を促す胃腸薬と胃酸分泌を抑制するH2ブロッカーを揃える佐藤製薬や第一三共ヘルスケアなどは、店頭においてPOPなどを活用し、使い分けを訴求する。
 ゼリア新薬やロート製薬では、売場作りの提案を主な訴求活動とし、消費者の目を引き付ける、また症状別でわかりやすい棚割を心がけ、消費者が手に取りやすくする。

胃腸薬市場――市場縮小への対策は、メーカー全体での情報提供活動

 胃腸の症状は、個人のニーズの多様化とストレスの多い現代社会を反映して、細分化、多様化している。そのため、症状または服用シーンに合わせた製品を提供していくことが必要だ。製品も新たなカテゴリーのものが登場するなど選択肢が拡がっており、的確なアドバイスを行う店頭対応の技量が問われるため、各社は薬局・薬店に対する情報提供に力を入れている。胃や腸の状態を良くする薬理作用や学術的な面から捉えた薬理作用に関する情報の提供から、疾患啓発、生活指導など、メーカーは多様な情報を薬局・薬店を通じて消費者に情報提供している。この流れは強まる一方で、薬局・薬店の店頭は情報提供の場として大きな役割を持っている。より一層の情報提供努力が、縮小傾向にある胃腸薬市場活性化への1つの対策だとも言える。また、最近では胃腸のトラブルが軽症でも病院を受診する消費者も増えており、医療機関で処方された医薬品との競合もあるため、OTCによるセルフリスクマネージメントという概念も必要で、店頭対応の重要性は増している。

胃腸薬はあくまでも自律神経の崩れをサポートするもの
東京・江東区 仁生堂薬局銀座店く
生活者の胃腸薬に対する知識は増えたけれど……

店舗写真  仁生堂薬局の創業は1976年。薬局経営者の自主的な研修組織である日本薬局協励会(前納秀夫会長)副会長の馬場正雄氏が社長を務め、調剤、一般用医薬品(OTC)、漢方を扱う店舗など数店を都内で展開する。東京・江東区にある砂町銀座商店街に位置する銀座店は4000~4500品目のOTC、化粧品、健康食品、雑貨などを扱う。1日平均400人、多い日は同600人の来店があり、客層としては40~60歳代の主婦層を中心に、70、80歳代の比較的高齢の女性も訪れる。
カウンター  胃腸薬に関しては、レジカウンター奥の壁面に、およそ50アイテムほどを陳列。胃腸薬の客層は、年齢的には店舗全体と似た構成だが、こちらは女性より男性がメインとなる。商店街に店舗を構える店主や、飲み屋で一杯やる前の客からのニーズなどが多いとか。銀座店を任されている永田真路マネジャーは「最近は、テレビCM等で食前の胃酸の出すぎ、食後の胃のもたれなど、それぞれにあった商品があることを知っている人も増えている。しかし、そうはいっても、自身が胃腸薬を買いに来た時に、明確にそれを判断して買えるかというと、そこまでの認識の深さがあるわけではありませんね」と言う。また、漢方系のものは副作用がないと信じて飲み続けている人もいたり、医薬品、医薬部外品などの区別がつかない人もいる。最近では、ストレスでやられた胃に効く商品を買いに来る人が増え、しかもスイッチOTCなど、より強い効き目を求めてくる人も少なくないようだ。そうしたことは相談の中で分かってくるので、正しい情報提供を行い、生活者への啓発を行うのも店舗スタッフの仕事だ。
カウンター  永田マネジャーは、胃腸薬はあくまでも自律神経をサポートするものとの考えがある。それを継続して使用していると10年後、20年後、加齢による身体機能の低下とあいまって、自律神経が徐々に働きづらくなり、生活面でも大きな影響を与えるといった点を危惧する。さらに、来年度から改正薬事法が完全施行となり、医療用医薬品からOTCへの大胆な移行圧力が強まる可能性も秘めている。大胆の度合いはさておき、今後、スイッチOTCの上市が進む環境は整いつつある中で、「これまで3割負担で済んでいたものが自費のOTCへとシフトし、その継続使用は経済的負担が増すことも意味します」とも語る。そうした視点からも、「不必要な継続使用等をなくす必要がある、と感じる人は増えてくるのではないでしょうか」ともみる。そのため、セルフメディケーションの視点から、売らないという姿勢も重要になる可能性も指摘した。

スイッチOTC増加も見据え、経済性も含めた賢い使用を

 永田マネジャー自身、2年前にタバコをやめ、ダイエットにも挑戦。そうした影響で薬に頼らない本当の意味での健康、セルフメディケーションを実感したという。そうしたことでいうと、「メーカーに対しては、今後、悪い習慣にならない商品を出して欲しいですね」と要望。そうした商品をうまく活用することで、本当の意味でのセルフメディケーションの実現に期待した。
 銀座店でよく動く商品は以下の通り。「太田胃散」(太田胃散)、「ガスター10」(第一三共)、「大正漢方胃腸薬」(大正製薬)、「大草胃腸薬」(日邦薬品)。「大草胃腸薬」は、重曹(炭酸水素ナトリウム)が配合されていないため、高血圧や腎臓病の人でも服用しやすいコンセプトで、高齢者など重宝される存在。変わったところでは、「ノーシン」(アラクス)も出るとか。腸関係では「ザ・ガード整腸錠」(興和)、「ベルビオ 大草整腸薬」(日邦薬品)がよく動く。また、テレビCMの影響もあり、腸まで届く「新三共胃腸薬プラス」(第一三共)、「セルベール 整胃錠」(エーザイ)なども人気。これらは店頭でも反響があるとのことで、「メーカーも顧客のニーズをしっかり掴んでいる結果だろう。こうしたところはさすが」と高く評価した。
(薬事ニュース 2008年8月29日号掲載)
各社の主要製品紹介へ