胃腸薬市場の今
新カテゴリーで市場拡大期待
整腸剤市場に活気
  整腸剤、止しゃ薬を含め胃腸薬、消化器用薬は、景気動向に影響を受けやすいことや、プライベートブランドの成長などの影響を受け、市場の縮小が続いてきた。健胃薬や整腸薬の医薬部外品への移行により、医薬品としての整腸薬市場の先行きが心配されたが、大腸を訴求ポイントにした「ザ・ガードコーワ整腸錠」(興和新薬)、「パンシロンN10」(ロート製薬)の上市で2004年度を底に05年に回復の兆しが見えた。07年からは「太田胃散整腸薬」(太田胃散)が参入し、整腸薬市場における新カテゴリーを生み出して市場の拡大が見込まれる。また、医薬部外品に移行した「新ビオフェルミンS」が、薬局・薬店での取り扱いが増え、医薬品、医薬部外品双方で市場が活性化している。さらに新製品では、整胃剤「セルベール」(エーザイ)など新しい市場をターゲットにした製品による市場活性化も期待される。
 市場調査会社の富士経済によると、腸内の環境を整えるまたは腸の諸症状を改善する医薬品である整腸薬、便秘薬、止瀉薬を対象とする腸内環境訴求医薬品市場(一般用医薬品+医薬部外品)の07年は336億円で、前年比ほぼ横ばいを見込む。整腸薬は05年の医薬部外品への移行によって医薬部外品の割合が高くなったが、非医薬品扱いによって店頭の取り扱いが減少した一方で医薬品では、大腸に特化した新薬が、医薬部外品の減少を穴埋めして店頭での取扱いが拡大していることを指摘。便秘薬は06年に佐藤製薬「サトラックスビオファイブ」、07年にはゼリア新薬「ウィズワンエル」など乳酸菌を配合して整腸を意識した商品が登場。便秘症状の改善に加え、整腸効果の訴求により美容に関するニーズにアプローチしていると分析している。
 整腸薬(一般用医薬品+医薬部外品)の07年は前年比4%増の104億円を見込む。整腸薬市場は、特定保健用食品の整腸効果訴求商品をはじめとする一般食品と競合して04年の医薬部外品への移行まで市場は停滞が続いていたが、04年から05年にかけて大腸に特化して訴求した製品が登場して新カテゴリーが創出された。また、ノロウイルス対策に有効として取り上げられた「新ビオフェルミンS」の特需も重なって06年は前年比10%と一躍拡大し100億円に達した。
 このほかH2ブロッカーでは、佐藤製薬やゼリヤ新薬などの参入があったが、市場トップの「ガスター10」(第一三共ヘルスケア)では、口中溶解タイプの「ガスター10S錠」を06年に投入。07年度の目標は前年比8.6%増の39億円に設定している。
 新製品により、市場が活気づいてきた消化器用薬市場。患者は胃腸症状について充分に説明できないことも多い。ストレスの増加や食生活の欧米化に伴い、胃の痛みや下痢、胃のもたれや胸やけなどの胃腸症状は、最も身近な身体のトラブルのひとつだが、患者それぞれ、症状、要因はさまざまなうえ、美容やダイエットも含めて個人のニーズも多様化している。的確なアドバイスを行う店頭対応の技量が問われることになる。

「胃薬」「腸薬」そして「胃腸薬」
東京・豊島区 大澤第一薬局・大澤誠
【顧客ニーズに合わせた薬剤選択が勉強のしどころ】
 昔は、胃腸薬とはそもそも胃腸に効く薬と読んで字のごとく、胃と腸の両方に効果があるような薬剤が合剤となっていましたが、現在では、『○○胃腸薬』と云うような商品名の製品でも、効能効果や成分をみるとほぼ胃の薬と思われる様に変わってきています。
 ただまだ惜しいことには、消化剤と胃粘膜保護剤とが混在しているような商品も存在をしているようです。しかし、メーカーの薬剤に関するコンセプトが次第にはっきりとしてきているように思われます。
 お客様のニーズにあわせて、いったいこの薬剤は何に効くのか、要するに、胃は痛いのか、消化不良なのかと薬剤の選択の必要があることが薬を販売する者の勉強のしどころと思われます。どのようなお客様がきても同じ胃腸薬(いろいろな効果を持つ?)では販売をする者のホスピタリティーと能力を疑われます。腸の薬についても同様と思われます。
 さて現在、胃腸薬はスイッチOTCが出回ってから非常に効果の高い薬剤が出ておりますが、そのために隠れた疾患を見逃すことがあります。その実例――私のところで実際にあったこと――をご紹介したいと思います。

実例1:店頭で胃の不快感を訴えて次々と胃腸薬を変え、毎週の様にお買いあげになっていたお客様が居りました。あまりにも頻繁にご来店頂くために、医師の診断を受けるようにお勧めしたところ、心臓の疾患があり、心筋梗塞を起こしかけていた症例。
実例2:実例1と同様に普通の胃腸薬では効果がなく漢方胃腸薬しか効果がない例。この場合は、胃ではなく胆石症を疑う。
実例3:『ガ○ター』を服用しても胃痛が止まらない例。この場合は、潰瘍が相当悪化していて最悪、穿孔の危険性があるので、医師の早急な診断が必要、等々。
 胃腸薬といえども注意していれば、お客様の健康に少しでも協力することが出来ると思います。

【乳酸菌関連商品にしのぎを削る各メーカー】
 さて、医療用の薬剤では胃と腸の薬剤はだいたい区別されています。体の胃と腸の境目の十二指腸は、腸と云うくらいですから腸に分類されていますが、薬剤はどちらかと云うと胃の疾患に使用される薬剤が妥当と思われます。
 その部分より下部では胃とは違ってアルカリ性の腸液が出ています。われわれの店頭では、腸の薬は便秘薬や下痢止めなど分類すれば数は多くありませんね。今は特保(トクホ=特定保健用食品)など腸に関する物はビフィズス菌・乳酸菌などが販売されています。現在、腸が免疫に関わっているとの報告もあり、各メーカーともに乳酸菌の開発にしのぎを削っています。現に、アレルギーに乳酸菌が効果があるとの報告もあります。
 では乳酸菌がなぜ免疫・アレルギーに効果があるのか。腸のなかで悪玉菌が多いとメタンガスや体に有害な物質を作り出し蠕動運動を阻害し、さらに、ガンの原因となります。
 便は長く腸内にとどまればそれだけ悪疫物質を出すために、すみやかに体から退場をして頂く方が体に良いことは明白です。そのためには乳酸菌など善玉菌を増やすことが必要となり、体に悪い物質は免疫力を下げると考えられています。又、腸のなかにパイエル板と呼ばれるほ乳類特有の組織があり、この部分に乳酸菌が取り込まれ、腸での免疫に関与していると考えられています。乳酸菌はぜんぶで200種類を超える数があるといわれており、それぞれ研究機関がどの様な効果があるかを研究しています。

【腸管免疫の重要性から商品推奨を】
 今は、いろいろな商品が特保として我々の店頭やスーパー・コンビニなどに並んでいるのを見かけると思います。薬業界は食品業界に負けずに、お客様に腸管免疫の重要性から商品をお勧めしたいものです。われわれの扱う商品は価格も数千円から数万円の商品まで内容によりいろいろあります。ですから、気軽にコンビニやスーパーの棚からお客様が手にとる商品ではなく、効果もかなり期待出来る商品ですから、納得されてご購入するように育てていく商品と思われます。
 では最後に、乳酸菌は生きている方が良いのか死んでいても良いのか? この問題に関しては、乳酸菌自体が酸に弱く、ほとんどが胃酸のために死んでしまいますが、たとえ死んでいてもその菌体が他の善玉菌のエサとなって他の善玉菌を増やすということを考えておくべきでしょう。
 皆さん腸を大事にしましょう。善玉菌は赤痢菌やO-157などの食中毒菌の抑制や便秘などを改善します。健康は健康な腸から始まると云っても言い過ぎではありません。ビフィズス菌・乳酸菌・「腸」バンザイ!

(薬事ニュース 2007年8月24日号掲載)