かぜ・インフルエンザ・花粉症 シーズン到来
暖冬、花粉量少なめだが油断は禁物
専門性発揮 薬局の出番
 今シーズンは暖冬だが、かぜ、インフルエンザの流行シーズンを迎えた。1月第2週の段階で、インフルエンザの患者発生報告数は前週よりも増加したが、注意報レベル、警報レベルを超えた保健所地域は存在していない。ただ、今後患者発生報告数は更に増加してくると予想されることから、国立感染症研究所では、注意を呼びかけている。これまでに全国の衛生研究所からのインフルエンザウイルス分離報告では、B型43%(報告数33)、AH1亜型(Aソ連型)18%(報告数14)、AH3亜型(A香港型)39%(報告数30)が報告されている。
 市場調査会社の富士経済によると、感冒関連用薬は、総合感冒薬、解熱鎮痛剤を中心に1300億円を超える大きな市場を形成している。PPA配合製品の販売中止や暖冬により風邪やインフルエンザがあまり流行しなかったこと、鳥インフルエンザ報道により医療機関の利用が増えたことなどから、市場は減少推移となっている。06年は、規模の大きい総合感冒薬、解熱鎮痛剤はやや持ち直しているものの、花粉飛散量の減少が響いた。花粉症に対しては、内服薬・点鼻薬で内外両面からのアプローチや花粉の侵入を防ぐためのゴーグルや、マスクなどが必須アイテムとして定着してきた。今シーズンは、アレルギーを抑える医療用成分「塩酸アゼラスチン」を配合したスイッチOTCが発売され、新たな選択肢が増えた。
 今春の花粉は少なめと予想されているが、すでに花粉症の人はわずかな飛散でも「くしゃみ」や「鼻づまり」などのアレルギー症状が起こってしまうことがある。さらに、少ないとは言え、新たに花粉症を発症させるのに十分な量であることから油断は禁物だ。
 鼻水、くしゃみといっても、かぜか花粉症か患者が見分けるのは難しい。花粉症は透明でサラサラの鼻水が続くが、かぜは透明の状態から粘っこい黄色の鼻水へと症状が移行する。ちなみにインフルエンザの場合、鼻水はあまり出ない。店頭ではこれらの疾患特長を踏まえ、患者の症状、ニーズにあったものを選び、場合によっては医療機関を受診することを勧めるなど、患者の健康相談の場としての機能を発揮することが求められる。

かぜ、花粉症。店頭での対応
東京都中央区 清心丹薬局 髙木弘也
かぜ、花粉症とは

 かぜ:身体を急に冷やしたり、濡れたまま放置したりするとなる。呼吸器系炎症その他の疾患の総称で、「これがかぜ」という定義はないようだ。
 花粉症:花粉吸入がきっかけでなるアレルギーで個人差が大きく、花粉もスギだけでなくブタクサ、ヒノキその他がほとんど一年中飛んでいるし、ハウスダスト、有機揮発性物質、粉塵等、単独・助長するきっかけ物質は多数ある。
 アレルギー:もともとは外部からの刺激による生体防衛反応で、適正に働けば免疫として身体を守り、過剰に働けば過敏症となって我々を悩ませる抗原抗体反応の一部であろう。

なぜ起こるのか

 生物も数ある中、人間に特に多く、症状にこれほど個人差がある理由は何か。
 たしか栃木県今市市学校薬剤師会の報告だったと思うが、杉林に囲まれた山の学校と、杉がそれほど多くない市中心部の学校の生徒の花粉症発症率は、後者が高かったことから、市内の自動車排気ガスの影響を示唆しておられた。
 有吉佐和子さんの名著「複合汚染」に示されたり、「環境ホルモン」として話題になった数々の化学物質は依然として我々の周囲にあり、生物濃縮の形で体内蓄積される可能性大だ。
 同様な環境なのに発症者、非発症者、非発症化者(軽減・治癒者)がいる、その差は何か。

機能について

 生まれたら必ず死ぬが、その間、飲食呼吸により外界の異物を摂取して同化させ、残かすと老廃物を排棄しなければならない。
 呼気・糞尿・汗・垢・毛髪・唾その他の排棄機能のうち、糞尿は特に成分と量が多く、体内蓄積毒性物質の減量に貢献している。
 糞は食品かすだけでなく、消化器官内壁、肝臓から出る胆汁など、非水溶性廃棄物が、また尿は腎臓で濾過され、再吸収されなかった水溶性廃棄物が、各主成分であって、中間処理した生活ゴミと生活汚水といえる。
 体内に吸収・同化された飲食物は代謝され、廃棄物と過剰物は組織細胞から排出され、ほとんどは血流によって肝臓・腎臓に運ばれ、処理排せつされる。
 年末年始や災害後、ストライキ等で収集処理能力を越えたゴミがあふれ、悪臭と不快のもととなるように、血流による体内廃棄物の積み残しは不健康の原因。
 起立歩行する生物である人間の下半身の静脈血行は心臓の拍出血圧だけでは不十分で、第二の心臓もいわれる下肢筋肉の緊張・弛緩で静脈の一方通行機能を補助する。ウォーキング・ジョギング・サイクリング等も結果が良いはずだ。

店頭での要望と対応

 店頭では、すぐ治って眠くならない薬をもらいたいとの要望が最多である。
 今まで効果があった薬、症状、病歴、直接原因等を、相手の時間に合わせ問診し、「ああそうか」と思って頂ける説明と養生法を添えて、薬をお渡しするよう心掛けている。

自らの経験から

 自身ひどいアレルギー歴があり、特に鼻炎は20代後半から激しく、午前中だけでティッシュ1箱を使いきったこともあった。
 アレルゲンは1つとは限らないというが、毎年2月12~14日過ぎは花粉が飛びはじめるためもあってか、小鼻の皮膚がティッシュで擦りむけた程鼻汁が多く、各種の薬物を服用したが、主作用は6~24時間なのに、悪い副作用の眠気や倦怠感はその2倍以上続き、又もとに戻り、治ったんじゃなく、止めただけなんだと実感の毎日だった。
 どうして同じ粘膜に他の人より早く、強く、長く、異常が出るのか、原因はどこにあるのかと考えた。
 小雨の朝、ゴミ集積場のゴミバケツは溢れそうに一杯で、縁の内側にダンボールを差し込んでこぼれ止めにしていたところへ、近所の人が一袋ゴミを置いた。
 濡れたダンボールは外側に曲がり、バサッとゴミがこぼれ散った。
 そうか、こういう事か。
 空のゴミバケツは一袋のゴミじゃ溢れないし、濡れなきゃダンボールの補強ももつはずで、特定粘膜組織に溜った体内の汚れが症状の原因なら、ダンボールならぬ薬で一時抑えたって、又なっちゃうのが当然だ。
 その汚れを少しずつはがして、血流等の流れをよくして肝臓と腎臓に流してやれば、症状そのものが出なくなるはずで、生きていれば毎日出る汚れに不摂生の割り増し汚れが出ても、症状は出にくくなり、出なくなっていくはず。それを治ったというのだろう。
 少々の不摂生も続けながら、上記の考えを実行して12年目、症状は出なくなり、本年で14年になる。
 実行方法は書ききれないので、何かの折りに述べることにするが、前紀の機能と、下記の結語をヒントにすれば出来るはず。

選薬について

 指名があればその薬をまず出し、一呼吸おいて効き目の満足度を尋ね、説明。
 選薬を求められたら一番ひどい症状を確認し、それを中心に副症状への成分も考えて出し、原因・誘因・養生方法も、短時間で、出来るだけ説明する。
 漢方薬を志向された場合は、症状と病歴に合わせ、短期間で薬を切り替え、体力でカバー出来る段階になったら服薬を控えるよう話して、お渡ししている。
 これはちょっと変だな、と感じたりした場合は、速やかに医師の診察を、と勧めている。

高齢者にもあるアレルギー

 アレルギーは、本来若年者の症状のはずだと思っていたが、高齢者にもある。
 高齢者の場合、薬物の吸収は遅く、分解も排せつも少なくて遅く、作用時間がずれる上、体内蓄積率が高いことを考慮し、眠気・倦怠感・就眠困難・不眠・目覚めの悪さ・胃腸の具合等を聞き、服用量や服用間隔を示唆する必要がある。
 睡眠導入剤との併用も多く、その効果が増幅され、明け方効き初め、昼は居眠りが多くてボケたのかと疑われ、夜は目が冴えて不眠を訴える例を結構聞く。
 ただ選薬・投与するだけでなく、薬の良さと怖さを伝え、導いていくのが我々薬剤師の使命であろう。
 和顔愛語を心掛け、むずかしい用語はわかりやすい言葉で、小学生でも理解できる説明を用意している。
 わかりやすい言葉に言い換えるのも、説明するのも、相手より二三段深い理解への、たゆまぬ研修が必要である。

結語

 「流水は腐らず停水は腐る」「血液循環完壁な肉体に病なし」「10年の病には5~15年の根気で向きあえ」「毒入り喰って毒を出せば健康」「薬の効く体をめざせ」「楽しく不摂生できるゆとりある体力を維持しようね」を締め括りにする。

07年春の花粉飛散量は昨年と同様かやや多め
早めの予防でより快適に
 2007年春のスギ・ヒノキ科花粉総飛散数は、昨年に引き続き少ないとの予測が出ており、昨年と同量もしくはやや多めの見通し。これは昨年7月の平均気温が、西日本の一部を除き全国的に平年並みだったことや梅雨明けが遅かったことに加えて、平年より日照時間が少なかったため。過去10年の平均値と比較すると、全国的に20~50%少ないと予想される。しかし、花粉症を発症させるには十分な量のため油断は出来ない。
 日本国民の16%が罹患していると言われる花粉症の情報を紹介する。


飛散開始は平年並みかやや遅く、花粉飛散量は過去10年の平均より少なめ

 飛散開始は昨年と同じかやや遅れる込み。NPO花粉情報協会が作成したスギ花粉飛散時期を示した表によると、関東と東海地方の沿岸部および四国の太平洋岸、九州の西部で2月10日頃、九州の西部以外、瀬戸内、関東南部、東海地方で2月20日頃、北関東、中国・近畿北部で3月1日頃、北陸地方が3月10日頃、東北では3月20日頃に飛散が始まる。
 今春の花粉総飛散量は、地域により平年並から過去10年の平均の20%程度になると予測されている。これは、2006年7月の気温が平年並だったものの、東北から九州北部にかけての広い地域で日照時間が少なかったため。地域別の花粉飛散予測は、北海道および東北北部では平年並、東北南部では平年の半分程度、関東甲信越では25%程度、北陸および東海20~50%程度、近畿30~60%程度、中国および四国50~80%程度、九州では平年並かやや少ない。平年より飛散量が少なかった2006年春と比較すると、北海道、東北北部、関東北部、北陸等の県では多くなる一方、その他の地域では同程度かやや少なくなるところが多いと予測される。
 花粉症の原因となる植物は現在、日本で40種類以上報告されているが、これらのほとんど花粉は風で花粉が運ばれるスギやヒノキなどの風媒花で、開花期には大量の花粉が飛散し花粉症の原因となる。スギ林の面積は全国の森林の18%、国土の12%を占め、花粉症患者の約70%はスギ花粉が原因。花粉飛散量には、地域差があり、森林面積に対する比率は、九州・東北・四国で高く、北海道はスギ花粉の飛散が極めて少ない。沖縄はスギが生息せず、関東・東海地方ではスギの人工林が多く、関西ではスギとヒノキ科の植林面積はほぼ等しいが、ヒノキ科は幼齢林が多く、東日本よりヒノキ飛散の割合が多いと考えられる。

飛散前の予防がより効果的

 今春の花粉飛散量は、全国的に過去10年平均より少なめだが、花粉症を発症するには十分な量のため、油断は出来ない。花粉が飛び出す前からマスクをするなど、早めの予防で効果的に花粉症発症の予防もしくは症状の軽減が出来ると考えられる。また、自分でできるセルフケアとしては、外出時にマスク・めがねをして、花粉を少しでも体中に入れないようにする。花粉症用マスク装着時は花粉の侵入量を約1/6、花粉症用めがねは1/4程度に減少させるといわれる。また花粉情報にも注意し、花粉飛散が多いときには無駄な外出を避け、家にいる場合でも窓の開け閉めを控える。もし、外出する場合には花粉のつきやすい長い毛足のコートの着用を避け、外出から帰って来たら洗顔、うがいをすることで、症状を軽減できる。なお、鼻粘膜の状態を良くするためには、悪化の因子であるストレス、睡眠不足、飲みすぎなどを抑えるなどの注意が必要だ。
(薬事ニュース 2007年1月19日号掲載)