オピニオン

まさかの対応に現場は深いため息

 厚生労働省医政局経済課が6月25日に発出した通知「後発医薬品の安定供給について」が思わぬかたちで現場に波紋を与えているようだ。先ほど行われた東京都薬剤師会の定例記者会見の席上、永田泰造会長はこんなことを打ち明けた。「個々の保険薬局から経済課が求めた通りにメールで後発品の安定供給に関する状況報告を行ったところ、後日にメーカーから直接問い合わせが入って、『どんな状況か』『どれくらい影響があるのか』といったことを尋ねられた。しかもそれが何度か続くことがあり、スタッフが対応に付きっきりになった」。通知を発出するにあたり、経済課が関係者に伝達した内容では、製造販売事業者に対する必要な調査及び改善指導を行うため、個別の品目名及び製造販売事業者名を必ず記載することを求めていた。さらに情報の正確性を求めるため、提出する保険医療機関・保険薬局名、担当者、連絡先についても記載を求めていたことで、それが裏目に出た格好だ。後発品の供給不安に伴い、保険薬局における業務量は増加の一途をたどっている中、「まさか情報が筒抜けになっているとは」とため息が漏れているという。都薬では個別に報告させることを中止し、会で意見をまとめたうえで報告することに変更。こうした対応を現場に判断させてしまっていること自体が、後発品の安定供給に向けては、道半ばであることの証拠と言えそうだ。



(2021年9月17日掲載)



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(2021年10月1日掲載)
◆まさかの対応に現場は深いため息
(2021年9月17日掲載)
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(2021年9月17日掲載)