オピニオン

ソーシャルサポート

 ストレスに対処する行動のことを「ストレスコーピング」というそうだ。大きく分けて「問題中心コーピング」と「情緒中心コーピング」がある。そのうち「情緒中心コーピング」は、問題のとらえ方を変えること(積極的認知対処)、周りの人に話を聴いてもらうことなど(ソーシャルサポート)が有効だという。筑波大学大学院・水上勝義教授によると、特にソーシャルサポートについては「どんなストレスに対しても、ストレス反応を軽減させる要因としてソーシャルサポートが大事だということはわかっている」という。
 最近見たスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」はまさにソーシャルサポートを描いたような映画だった。妻に先立たれ、会社を解雇された59歳の男性が主人公だ。彼は町内でも口うるさいことから親しい人もいない。複数のストレスが重なって、当初は妻の墓参りで「すぐにお前のそばに行く」と言っていた。しかし、隣に引っ越してきた一家との出会いが転機となる。隣人から様々なことを頼まれ、頼りにされると、次第に心がほぐれていき過去が明らかになる。「そちらに行くのが遅くなりそうだ」と気持ちが変わっていく。
 つらい時につらいと言えて共感してもらえる場があってこそ、本当の健康長寿社会が実現するのだろう。



(2017年2月24日掲載)



前後のオピニオン

「74.3%」
(2017年3月3日掲載)
◆ソーシャルサポート
(2017年2月24日掲載)
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(2017年2月17日掲載)