オピニオン

ビタミン剤の給付制限の効果

 厚生労働省は4月から、全ての医療用ビタミン剤について保険給付を制限することに決めた。財務省によれば国費ベースで39億円、医療費ベースで約150億円の薬剤費削減効果が見込めるとしているが、この数値自体については、懐疑的な見方を示す関係者も少なくない。
 現行ではビタミン剤の給付制限策としてビタミンB・C剤に限り、単なる栄養補給目的での使用などに対して、保険上の算定から外す措置をとっている。4月からは、全ての医療用ビタミン剤を同様の取り扱いとする考えだ。
 財務省は元々、OTC類似薬の保険上で取り扱うことに疑問を抱いており、次期診療報酬改定率を巡る折衝でビタミン剤の一部を保険適用から除外するよう求めた。OTC類似薬の給付見直しに慎重な厚労省は、法改正を必要としない小幅な見直しで対応を図ったかたちだが、厚労省自体は具体的な財源影響について明らかにしていない。
 ある厚労省関係者は、「現在、栄養補給目的のみで脂容性ビタミン剤を使用している医療機関はほとんど少ない。150億円も薬剤費が削減できるとは思えない」と分析する。また、別の関係者も「脂容性ビタミン剤を治療目的以外で使用している医師が本当に存在するのか」と疑問を投げかける。
 財務省側は今後もOTC類似薬の給付見直しを求めていく構えだが、今回の厚労省の対応に対して、ある政府関係者は「厚労省としてはできるだけ財政影響の少ないかたちで収束させたいのだろう。具体的な数値を報道記者に示さないのはそのためではないか」とみている。



(2012年1月13日掲載)



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(2012年1月20日掲載)
◆ビタミン剤の給付制限の効果
(2012年1月13日掲載)
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(2011年12月23日掲載)